日曜日のうちに佳代の部屋を出て、私はオフィスにそこそこ近いビジネスホテルに移動していた。
シングル一泊で七千円。
今回はいつものように一週間で戻ることはないけれど、長期滞在というわけにはいかない。
どう考えても、なるべく早く一人で暮らす為の部屋を借りるべきだ。
週末のうちに不動産会社回りをするべきだったのは一目瞭然なのに……。


週明け、ただでさえ浮かない気分の月曜日の朝。
私は無意識に漏れる溜め息を抑えることも出来ないまま、オフィスビルまでの一本道を歩いた。


始業時間の十分前にデスクについて、起動したパソコンでメールをチェックする。
システムソフトを起ち上げてログインした後で、私は席を立ってファイル庫に向かった。
デスクにしまい切れないやりかけの仕事は、全部金曜日の夕方ここに放り込んできていた。


黒い未処理ボックスの蓋がしっかり閉まらないくらい山積みだ。
それもこれも、金曜日に仕事が全然はかどらなかったせい。


全部勇希のせいだ。
つい不機嫌になって頬を膨らませてしまう。
そして途端に、土曜日の朝のことを思い出して、微妙な怒りと共に頬が赤くなるのを感じた。


なんなのよ、あれ。
別れるって言った途端にあんなキスとか普通ないでしょ。
恋人だってことを忘れさせるくらい、私を家政婦扱いしたのは勇希の方だ。


あまりに久しぶりだったから、不覚にもドキッとしてしまった。
ああいうキスを当たり前にしていた頃を思い出して、切なくなってしまった。


自分でも、泣くなんて思ってなかった。