探偵の彼に追跡されて…

沙汰郎 Side

人手が欲しくて求人募集をしていると知人の笹木さんから職を探してる娘が居ると雉馬美野里を紹介された。

笹木さんからは真面目な娘だと聞いていたし名前に雉が入っていたので俺は彼女に会う前から雇う事を決めていた。

それは事務所の名前を百瀬沙汰朗を文字って【桃太郎探偵事務所】と名前をつけていた。

友達で【ＷＳＨＩ法律事務所】の一条からも『巫山戯た名前をつけたな？』と笑われている。

勿論、自分でも巫山戯た名前をつけたと思っている。

既にうちで働いて貰って居る、猿渡、犬飼という名前が居たので彼女が入れば面白いと思ったから美野里ちゃんを雇うことにした。ただそれだけだった。

だが、彼女に初めてあった時にあまりの美しさに目を奪われた。

透き通るような肌の白さとスタイルの良さで、見る人全てを釘付けにするであろう容姿だった。

彼女ならモデルでも十分やっていけると思うほどの美しさ。

仕事も聞いていた通り真面目で人に頼らず何でもこなす彼女。

それは彼女の長所であり短所でもある。

俺や幸子さん、渉とも上手くやって気を許している様に見えるが、困っていても人に頼る事はしないで抱え込んでしまう。損な性格だと思う。

3年前急にアパートを引っ越したと聞いた時は驚いた。

『言ってくれれば引っ越しの手伝いぐらいしたのに、仕事だって休んでくれて良かったのに…』

『そんなに荷物はないですから』と彼女は微笑んだ。

一人暮らしで荷物が少ないと言っても仕事も休まず引っ越しの荷造りをしたり荷解きをしたり一人では何かと大変だったと思う。

だが半年もしないうちにまた引っ越したと聞きその頃から彼女の服装も変わっていた。

何かあったのではと思い聞いたが彼女は『何も無いです』と言って何も話さなかった。

彼女の周りで何かが起こってるような気がして俺は彼女に悪いと思ったが尾行させてもらった。

すると彼女は駅のトイレで二度も着替えをし家に帰って行った。他の人なら駅で彼女を見失うだろう。

なぜ？ そんな事をするんだ？…

数日尾行をしたが同じ様に駅で着替え降りる駅はその日によって違う。かといって帰る家が違う訳でもない。

まるで逃亡者の様だった。

どういう事だ？…

彼女は毎日おかしな行動を取るが、仕事で見てるぶんには何も変わった様子も無かったので俺もいつしか忘れていた。