太陽みたいな人でした。
沈む夕日
目を覚まし、ベットの上でぼーとする。
あれは夢だったんじゃないかって。
でも、あれは紛れもなく現実だ。
1日立ったのに今でもあの気持ち悪い感覚が蘇ってくる。
そして、昨日と同じ吐き気も…。
学校…行きたくないな。
朝学校に行くにはたくさんの人とすれ違わなければならない。
もちろん男とも…。
でも、行かないとミキが心配する。
もしかしたら岩淵先生だって心配するかもしれない。
それに男が怖いなんて情けない。
言いたくない。
だから、バレないようにいつも通りにしなきゃ。
そう思い、人が少ない時間を選び、早めに学校へ向かった。

「おはよう、亜子さん。
メールは見ましたか?」
学校へ着くと丁度いいタイミングで岩淵先生が職員室から出てきた。
1番合いたくなかった。
岩淵先生とはいえ、男には変わりない。
他の男の人よりはマシだとしても恐怖の対象であることには変わらなかった。…。
ボロを出さないように頑張るしかなかった。
メール?何それ?
私は昨日の朝ぶりにスマホの電源を付けた。
『…本当に大丈夫か?』
…なんだろこの人。
痛いところを付かれて泣きそうになる。
誰にも言うつもりないのになんで分かっちゃうのかな。
でも
「大丈夫ですよ!ミキと温泉行ってリフレッシュしてきました!」
やっぱりバレたくない…。

「…本当なんですね?」
まだ納得していないようで顔をのぞき込んでくる。
「大丈夫だって言ってるじゃないですか!しつこいですよ〜」
そう言って笑って見せた。
するとやっと納得したのか
「ほんとなら別にいいんだ。大事な生徒だからな。」
そう言いながら頭を撫でる。

パンッ!

わたしは咄嗟のことに上手く対処出来ず、手を払ってしまった。
「…亜子、お前もしかして…」
「授業の準備しないといけないのでもう行きます!!」
そう言って私はその場から逃げてしまった。
授業なんてまだまだ始まらないのにとにかくその場から逃げたくて咄嗟に言葉が出た。
『もしかして』
お前男が怖いのか?
そんな言葉が出るんじゃないかと思うと、何も聞きたくない。
…バレた?いつも通りに出来なかった。
突然伸びてきた手が一瞬すごく怖かった。
上手く対応出来なかった。
そんなことばかりが頭を巡った。

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