モテ系同期と偽装恋愛!?
皆んなの輪の中にいる時、彼はこんな目をして笑わない。もっと明るく、力強く、輝くような目で笑う人だもの。
傷ついても尚、笑ってくれる横山くん。それはきっと私の為で、その大人の優しさに心が痛み、自己嫌悪が増した。
私はなんて嫌な人間なのだろう。
なんて臆病なのだろう。
分かっていても、素顔を見せる気持ちは起きなかった。
横山くんから目を背け、足もとに向けて言う。
「私の実家、ここから近いの。実家に寄って帰るから、送らなくていいよ」
彼の車にふたりきりになるのが怖かった。
その怖さは、男性恐怖症からのものというよりは、傷つけてしまったことに対しての方が大きいかもしれない。
横山くんは「そっか……」と呟いただけで引き止めず、私は彼に背を向けて歩き出す。
ごめんなさい、横山くん。
ありがとう、こんな私に気を遣ってくれて。
でも、もう傷つけたくないから、なるべく私に構わないで。
心の不自由な私には、こんな態度を取るしかできないから……。