お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
優しい嘘って幸せですか?
◆◆


あの夜の事件から3日が経とうとしていた。

あの日、「リタイアなんて言わないで」という藤丸さんの言葉に甘える形で私はまだこのマンションで藤丸さんと生活している。

藤丸さんとの日々に、別段変化はないように見える。
藤丸さんがあの夜の事はなかったことのようにして私に声をかけてくれるおかげなのか、初日はさすがに身構えていた私も日常生活は通常通りと言ったところ。


だけど、やっぱり2人の間を流れる空気は、お互いどこかぎこちなくて、向かいあって食事していても話題を探して無言になることだって以前より多くなった気がする。


私は私で、昼間1人で家事をしていても、今頃藤丸さんは梶原さんと一緒にいるんだと思うと、どうしようもないくらい胸騒ぎを覚えることだって増えてしまった。


藤丸さんは梶原さんに恋愛感情がないとあの夜に伝えてくれたけど、やっぱりどこか不安を覚える。


なのに、その気持ちを言葉にして藤丸さんに伝えちゃいけない気がして、この感情をどう処理すればいいのか分からないでいる。

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