部屋を間違えたのではないか、そもそも場所を間違えたのではないか……。


正面で微笑む専務をジロジロと見ながら、私はそんな事ばかり考えていた。


専務だって、お見合いが決まってるんじゃなかったの?


何でこの場所にいるのか、意味不明なんだけど。


幸か不幸かはわからないけれど、場所を間違えたわけでもなく、お見合い相手も間違いではないらしい。


正真正銘、私のお見合い相手は、村上慶一郎専務。


両親は、お見合い相手が私の勤め先の御曹司だという事を知って、目を丸くして驚いた。


ちなみに、この話を勧めて来たお父さんの上司は、専務のお父様、つまり社長の学生の頃からの親友らしい。


社長を見たのは入社式以来で、社長夫人を見たのは初めて。


かなりのプレッシャーに、テーブルの下で重ね合わせている手に汗がにじんできたほど。