その時にはもう遅かった
その時には
人が多いこのオフィス内でよくそんな事が出来るな。

初回の感想はそれしかなくて印象は悪かった。

「神崎さん、今日空いてます?」

最初は仕事の話かと思ったけど話していくとそうでも無い。

「飯でも食べに行きません?」

就業中の午後、さらりと言われた提案に私は静かに首を横に振った。

それは残念、そう言いながらあっさりと引き下がっていく背中を見て少しずつ感想が生まれてきたのだ。

何だ今のは。

ナンパ?

人が多いこのオフィス内でよくそんな事が出来るな。

でも周りを見ればそんな私たちの会話を聞ける範囲に人はいなくて、タイミングとしてはかなり良かったと思われる。

慣れてる?

仕事内容はともかく私生活の面で奴は信用ならない。

夏目康生、油断ならない相手だと私はしっかりインプットした。



あれから3ヶ月。


信じられないことに私は彼の猛攻撃にあっているのだ。

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