青春グラフィティー*先生と生徒の関係。
あたしの1日の始まりは。





あたしの1日はまず保健室に行くところから始まる。





「たのもー!」

「頼もうじゃないですよ。保健室では静かにして下さい問題児」

「あだっ!」





保健室のドアを勢いよく開けて、中に入ったあたしの頭を保健室の先生は思いっきり叩いた。



「せんせー暴力変態ですよー?」

「それを言うなら暴力反対です」




そう言って、はぁと溜め息を吐いた先生は面倒くさそうにあたしを見た。



「俺のところに毎朝来ても相手なんてしませんからね」

「そんなの知ってますよーっだ!」




いつもの特等席に座って、あたしをジト目で見てくる先生を見返す。

ジト目で見てきているにも関わらず、先生は美形だからそんなのも気にならない。


美形なのが恨めしい。



保健室の先生こと、十河裕太。

さらさらの茶髪に、切れ長のチョコレート色の瞳。
高くも低くもないちょうどいい高さの鼻に、薄い桜色の唇。
女子のあたしが嫉妬するほど小顔で、女子よりも肌が白くキメ細かい。
黒縁のメガネをかけていて、いかにもインテリ系の先生だ。


年齢は21らへんだったはず。

確か、大学を卒業後すぐにうちの高校に来たから。


目を見張るほどの美形で、歳も若いときた。
そんな先生を女子生徒が放っておくことが出来るだろうか!



「いや!出来やしないっ!」

「急に叫ばないで下さい」

「あべっ!」



今度は分厚いレポート用紙を顔面に投げてきた先生。
避けきれなくて顔面キャッチをしたあたしを先生は馬鹿にしたように鼻で笑う。



「せんせー、最近あたしの扱い酷くなってませんー?」

「そんな訳ありませんよ。俺は誰にでも平等に優しいですよ」




特に問題児のようなあなたにもね。
クスクス笑う先生は、あたしを馬鹿にすることに飽きたのかすぐに手元のレポートに視線を移す。



「早く教室に帰らないと、あなたのところの担任が迎えに来ますよ」




レポートから顔を上げずに、言葉をかけてくる先生。




「だねー。じぁ、せんせー今日も1日頑張ってね」

「はいはい。さっさと行ってください」






じぁね、と手を振れば、しっしっと嫌いな動物を払うように手を振られた。


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