恋愛結婚させてください!
第1章 面倒な出会い。

18年振りの再会。

「どうして、朝、電話ができないかな?」
私は頭を振りながら駅に向かう坂道を
急ぎ足で下りながらスマホに向かって文句をを言う。
「うーん。ゴメンってば。」と半分寝ていると思われるミノルの声がする。
「いっつも、夜電話できない時は、朝に電話してねって言ってるじゃん。」と怒ると、
「ムギは今日勤務だろうけど、俺は土曜で休みだし。」とモゾモゾ言い訳をしている。
「今日のデートの予定は?」と機嫌の悪い声で確認すると、
「ワルイ、夜は先輩の付き合いで出かける。」とゴソゴソと音がして、
「おやすみ。」と通話が切れた。
チョットどういう事?私はスマホを見つめて、改札をくぐる。

藤沢に向かう江ノ電が「七里ヶ浜駅」に滑り込んでくる。
空いた車内で私は溜息を吐いた。
4月に入って、数日過ぎた。
まだあちこちに桜が咲いているのを電車の窓越しに眺める。
蒼井 麦(あおい むぎ)25歳。
地方都市の総合病院の小児科病棟に勤めて3年目。
看護師としてやっと一人前の扱いをされるようになって、
今日から日勤でリーダー業務に就く事になっている。
チョット緊張するけど、周りはいつものメンバーなので、
わからない事があったら、聞きながらやるしかない。

それよりも、さっきのミノルの態度は気に入らない。
先輩の恋人の紹介で、地方銀行の営業のミノルと知り合ってから半年経った。
出会った頃は毎日朝と寝る前に電話をくれて、おはようや、おやすみを言ってくれたのに、
私が、毎日声を聞かないと、心配だっていう言葉も笑って聞いてくれていたのに。
最近のミノルは少し冷たいような気がする。
今日のデートもキャンセルらしいし。

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