腹黒エリートが甘くてズルいんです
傷の修復
***


「絶対に、今年は綺麗目なブーツ買うんだ、もう、流行とかに流されないやつ!」


お昼休み、待ち合わせた社員食堂のクリーム色のテーブルに雑誌を広げて由依が鼻息荒く言い放つ。


「……それって、本革とかのお手入れ大変系?」


食べ終えた親子丼ランチの器に、コーンサラダが入っていたガラス小皿を重ねながら尋ねる。


「そ。もっちろん! あたし達もうババアよ、ババア。流行に乗っただけの安っぽい合皮のブーツなんか履けるかっつーの!」


そんなこと、去年も言っていたような気がする。

「て言うか今からブーツを買いに行く人の気が知れない……まだ全然イメージわかない、何ならあたし今夜ビアガに行けるもん」


あたしの言葉を聞いて、由依が深めのため息をつく。


「……あんたね。今何月だと思ってるの? 9月も半ばすぎよ、瞬きしてる間に10月になって冬になって……もう、店先にはとっくに秋冬物がひしめき合っていて、人気のものなんて続々売り切れてるからね! さ。いくよ、今週末、買い物!」
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