さようなら、きんいろ。

2





太陽は海にとぷんと沈む。

鮮やかな色で染めあげて、オレンジ色の光の線が水面の揺らぎにあわせて歪んだ。

静かに、ゆらゆらと。



目を開けていることさえ難しく、目を細める。



ローファーを、靴下を、波が届かない砂浜に脱ぎ捨てる。

足の裏にはざらついた、少しだけ痛い砂の感覚。

それを踏みしめていくと、湿った砂が柔らかくあたしを受け入れてくれる。



膝丈のスカートをつまみ、そのまま足を進めた。

爪先から水に包まれる。



昔はきょうちゃんと一緒に遊んだ海。

1年半前、彼があたしを置いていった、海。



あたしはただ、ここで待っているだけ。

待っていることしかできない。



どんなにお願いしたって、きょうちゃん自身が帰ろうと思った時にしか島には戻って来てくれないんだ。



音もなく浮かんだ涙が1粒だけ落ちる。

海に紛れる。あたしは涙の通り道を掌でぬぐった。






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