SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「 本当に美空は西洋のお人形さんみたいね。二次元の世界から飛び出してきたみたい 」
鏡に映るあたしを見てユリが言う。
ユリが動くと、ほんのりラベンダーの香りがした。
「 あ~。まだ、人間なの? よくわからないけど、まだ、あたし 」
ユリはほぼ毎日、あたしの部屋にやってくる。
部屋といってもSATやD.S.Pの隊員らが使用する寮の一室だ。ユリいわく、ビジネスホテルのような内装らしい。
「 ふふ、美空はちゃんと人間よ 」
微笑みながらユリはあたしを確かめる。
目を見たり、手を触ったり……
というのも、ユリはサイコセラピストだからだ。心に傷を負った者を癒やす事が出来る能力者。
あたしには、時々ある問題が生じる。
そんな時、ユリが力を貸してくれていた。