SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「 本当に美空は西洋のお人形さんみたいね。二次元の世界から飛び出してきたみたい 」


鏡に映るあたしを見てユリが言う。

ユリが動くと、ほんのりラベンダーの香りがした。


「 あ~。まだ、人間なの? よくわからないけど、まだ、あたし 」


ユリはほぼ毎日、あたしの部屋にやってくる。

部屋といってもSATやD.S.Pの隊員らが使用する寮の一室だ。ユリいわく、ビジネスホテルのような内装らしい。


「 ふふ、美空はちゃんと人間よ 」


微笑みながらユリはあたしを確かめる。

目を見たり、手を触ったり……

というのも、ユリはサイコセラピストだからだ。心に傷を負った者を癒やす事が出来る能力者。

あたしには、時々ある問題が生じる。
そんな時、ユリが力を貸してくれていた。
< 57 / 795 >

この作品をシェア

pagetop