白井さんと想いが通じ合ってから二週間後のクリスマスイブ。

その夜に白井さんとのデートを控えた私は、浮かれる気持ちを押さえて仕事をしている……つもりだった。

「琴乃ちゃん、夜が楽しみな気持ちが体全体に溢れてるわよ」

「ええっ!? そんなつもりはないんですけど……」

咄嗟に頬を押さえる私を見て、未来さんが微笑む。

「いいなあ、琴乃ちゃん。クリスマスイブにデートなんて」

「宗介さんは、お仕事ですか?」

「そ。今回はオーロラ撮る仕事って言ってたわ」

自分の撮りたいものだけ撮っているわけではなく、宗介さんは多岐に渡って仕事をしている。

時々、モデルさんを撮ったり、世界の絶景を撮ったりする仕事もしているのだと、未来さんから聞いた。

「でも、今回はそんな危険な地域ではなさそうだから、ちょっとホッとしてるけどね」

そう言って笑う未来さんの薬指には、キラリとダイヤモンドが光っている。

私が白井さんに告白すると決めたあの日、未来さんは宗介さんにプロポーズをされた。

『琴乃ちゃんに勇気をもらったよ』とは、白井さんと揃って報告を受けたときの宗介さんの弁。

地震のときに未来さんに心配をかけたことで、未来さんと一緒にいたいという気持ちが大きくなったそうだ。

「まあ、びっくりすることもあるかも知れないけど、楽しんでね」

意味深に笑う未来さんに、私は首を傾げる。

「びっくりすること?」

「……おっと。これ以上は黙ってないと怒られる、怒られる」

「怒られるって誰にですか? ……って未来さん?」

「私、ちょっと出てくるね~」

追及から逃れるように、未来さんは颯爽と出かけていく。

「なんなの、びっくりすることって……」

取り残された私に、答えてくれる人は誰もいない。

「まぁ、いっか」

気合いを入れるため、パンパン、と自分の頬を軽く叩き、私は目の前のパソコンへと目を向けた。