考えずにいられるならそうしたいけど、こんなに近くにいて、それは無理だ。
 おそるおそる優輝の頭に手を置く。
 彼に頭を撫でられるのが好きだから、私も同じようにしてみようと思ったのだ。
 優輝は力を抜いて、私に少しだけ身を預けてきた。
「甘えているのは俺のほうかもな」
「それはないって……」
 首筋に優輝の吐息がかかり、私は思わず身をよじった。
 ——でもよかった。無理をしていると認めてくれて。
 彼はいつも私が気を遣わないように心を砕いてくれていたのだ。
 ——「逃げてばかりでごめんなさい。こんなずるい私でもいいですか?」……なんて言えないし。
 だけどそろそろ私も認めなくてはいけない。じゃないとこの先には行けない気がするから。
 嫌がるそぶりを見せないので、私はそのまま優輝の髪を撫で続けた。
 こんなこと、罪滅ぼしにもならないとわかっていたけど——。