雀の恩返し
それぞれの幸せ

一ヶ月後に挙式。
スズメには決まった相手がいる。

自分の気持ちが決まったのに
それが事実なら
僕はどうすればいいのだろう。

スズメは床に座り込みながら
まだ泣いている。

細い肩が震える様子が痛々しい。

あぁ僕はバカだね。
自分の事ばかり考えていて
スズメの気持ちを無視していた。

僕の方が大人なのに。ごめん。

泣いてるスズメを放置して
僕はキッチンに入る。

そして電気ケトルのスイッチをもう一度押し
沸騰させてから
ミルクを冷蔵庫から出して鍋にかける。
お砂糖を少し入れて弱火にし
それを維持させてコーヒーミルで豆を挽く
香ばしい豆の香りが、僕の心を落ち着かせる。
フィルターをセットして挽いた豆を入れ
熱いお湯がサーバーに注がれる。

美味しそうなコーヒーは熱いミルクと合流し、スズメのマグカップに入る。

「はい」

僕はカップを持ってスズメに渡す。

スズメは涙を拭いて
マグカップを受け取ってカフェオレを口にして

「お砂糖が少ない」って怒り出す。

僕は笑って「はいはい」って砂糖を追加し、自分のカップにコーヒーを注いでから、スズメの目の前に座り込んだ。




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