クールな御曹司と愛され政略結婚
「盛り上がってた、の」
「俺だけだったみたいだけど?」
「だから、そんなこと…」
またキスをされた。
今度はTシャツじゃなくて、肩をつかんで引き寄せられて。
やっぱり熱いのは、寝不足のせいか、それともほかの理由か。
態度のわりに、キスは甘くて、感触を確かめるみたいに丁寧に重なって、でも最後に腹いせのように唇をきつめに噛んでいった。
離れた唇を、お互いもう一度寄せ合おうとしたとき、視界の隅が動く。
灯も気づいたんだろう、私たちは同時にはっと視線を動かし、少なくとも私は、叫びだしたい気分に駆られた。
木場くんが、真っ赤な顔で目をきらきらさせて立っていたのだ。
大浴場帰りらしく、タオルを首に下げて。
「あ…」
灯が、私から手を離すのも忘れて絶句する。
その耳や顔が、ふわっと赤くなったのを見て、私はびっくりした。
灯がそんなふうになるところを、見たことがなかったからだ。
木場くんの目が、さっと私の身体を舐めた。
自分の恰好を思い出し、再び悲鳴をあげそうになる。
「灯、離してよ」
「えっ、あ」
「うわっ、おふたり…うわっ、やっぱり、ほらあ、ほらあ!」
「木場、誰にも言うなよ」
「ほらあー!」
「言うなよ!」
「手を離してってば、灯!」
シャツの裾とドアをつかんだままの私と、私をつかんだままの灯と、立ち尽くす木場くん。
ホテルの廊下であることも忘れ、三者三様、顔に血をのぼらせての大騒ぎ。
半年以上続いた激務と結婚騒動の、ひとまずの区切りは、そんなごたごたの中で、ついたようなつかないような。
なにはともあれ私と灯は、今日から四連休。
「俺だけだったみたいだけど?」
「だから、そんなこと…」
またキスをされた。
今度はTシャツじゃなくて、肩をつかんで引き寄せられて。
やっぱり熱いのは、寝不足のせいか、それともほかの理由か。
態度のわりに、キスは甘くて、感触を確かめるみたいに丁寧に重なって、でも最後に腹いせのように唇をきつめに噛んでいった。
離れた唇を、お互いもう一度寄せ合おうとしたとき、視界の隅が動く。
灯も気づいたんだろう、私たちは同時にはっと視線を動かし、少なくとも私は、叫びだしたい気分に駆られた。
木場くんが、真っ赤な顔で目をきらきらさせて立っていたのだ。
大浴場帰りらしく、タオルを首に下げて。
「あ…」
灯が、私から手を離すのも忘れて絶句する。
その耳や顔が、ふわっと赤くなったのを見て、私はびっくりした。
灯がそんなふうになるところを、見たことがなかったからだ。
木場くんの目が、さっと私の身体を舐めた。
自分の恰好を思い出し、再び悲鳴をあげそうになる。
「灯、離してよ」
「えっ、あ」
「うわっ、おふたり…うわっ、やっぱり、ほらあ、ほらあ!」
「木場、誰にも言うなよ」
「ほらあー!」
「言うなよ!」
「手を離してってば、灯!」
シャツの裾とドアをつかんだままの私と、私をつかんだままの灯と、立ち尽くす木場くん。
ホテルの廊下であることも忘れ、三者三様、顔に血をのぼらせての大騒ぎ。
半年以上続いた激務と結婚騒動の、ひとまずの区切りは、そんなごたごたの中で、ついたようなつかないような。
なにはともあれ私と灯は、今日から四連休。