恋色流星群

10

 

総立ちになって、通路まではみ出して飛び上がる人たちの脇を、すり抜ける。



地響きのような爆音と、奇声にも似た歓声に耳が痛い。
女の子たちの手から振り上がるフラッグが、今にも頭に降ってきそうで。

耳と頭を押さえながら、『ごめんなさい』を繰り返しながら席を目指した。



命からがらたどり着いた、スキンヘッドの大男の左隣。


何なの、さっきまでと明らかに違うこの異様なくらいの盛り上がり!

planetのステージ、始まっちゃったかな?と一瞬焦ったけど。

ステージには、知ってる顔は一つも居ない。

わりと若い子たちが、ステージから客席を煽ってる。




もう前を抜けるのも辛い。。




『葵ちゃん、奥詰めて!』



何度も肩を叩いて、叫んでるのに。
ガンとして、前を抜けて自分の席に入れと譲らない。
陽斗くんの用意した、灼熱の赤い席。




目を見開いて、そこをガシガシ指差しながら鬼の形相で私を見下ろす。めんどくせぇ・・・

ていうか、こんなに人が立ち上がってたらおチビな私。
ステージからなんて、絶対見えないよ。





『ねー、これplanetじゃないよね?』


背伸びして、耳打ちすると。


「あんたバカにしてんの?!どう見たって違うでしょうよ!!
これはStars!Starsよ、Stars!!」



すたーず?すたーずすたーず?
もうだめだ、ついていけない。



『どうでもいいから、そのフラッグもうちょっと下げて振ったほうがいいよ。
後ろの人に迷惑だよ!』


高らかに持ち上がる、ごんぶとの左腕を下げようと、ぶら下がったら。


「Starsが出たってことはね。」

『あ?!聞こえない!てかお茶ちょーだい!』


 
 
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