黒胡椒もお砂糖も
第5章 美香、走る

1、やっかみはいつでもある


 2月の初めで4件だった件数はそのままで、私はとっとと3月分にいくことにする。

 いつだって余裕があるわけではないのだ。2月戦のノルマとしては達成はしてないが、それでも4件入れれば事務所にも机を並べて島とするチームにも十分貢献出来たわけだし、と思って、個人的に記念月は終わらせて、次へ行くことに決めたのだ。

 2月戦で頂けた学資保険は本当にラッキーだった。あの出入りがもらえた不動産屋で空前の出産ブームが到来した時に居合わせた私は、同僚同士が勧めあった結果右並びで頂くことが出来たのだ。

 だけど、もうそんなことはない。だからまた種蒔きからの開始なわけ。

 昼の職域もバレンタインを過ぎるころにはいつもの日々に戻る。もう正月の金欠からも脱出しているし、本命の彼氏彼女にお金をかける人以外は資金も潤いだすのだ。

 私はそれなりにうまくいって暇だった2月の間に考えた作戦を実行することにした。

 3月はこれ。個人年金攻めでいきたい。

 そりゃあ主力商品の契約だって欲しいのだ。だけれども、今会社が一押しの主力商品には個人的に魅力を感じない私は、つい他のものを勧めてしまう。大体元々総合保険と呼ばれるオールマイティな保険が好きではないので、力が入らないのだ。

 だけど個人年金は違う。契約者は基本的に損をしないし、ある年齢を超えると格段に加入しにくくなるので、それまでのボーダーライン上にいる人片っ端からアタックすることにしたのだ。

 これを、ローラー作戦という。


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