黒胡椒もお砂糖も
称えられても嬉しくないぞ。頼むから離れてくれー!愛想がいいのもある意味問題・・・。そう思っていたら視線を感じて顔を上げた。
バチっと音がしたみたいに、こちらを見下ろす高田さんと目があった。
アーモンド形の綺麗な両目が私をじっと見ている。
「――――――」
体がカッと熱くなって、私はすぐに視線をそらす。
・・・どうして見てるのよ~!もうやめてよ~!平林に話しかけられて喜んでるぞ、この女、とか思ってるんじゃないでしょうね~!!
居た堪れないこのエレベーターから早く逃げたい。
まだ着かないの~?!
やたらとノロノロと各階に止まるエレベーターに心の中で呪いをかける。やっと事務所がある18階に着いたときには私はもうヘトヘトに疲れていた。
流れるようにエレベーターから脱出し、後ろも振り向かずに小走りで事務所に入る。
ああ、あんなに嬉しかった30分前の私よカムバック!今ではすっかり萎えた喜びを何とかかき集めて上司に笑顔を向ける。
「お帰りなさい、尾崎さん。どうだった?」
「頂けました」
それだけを何とか伝え、自席に戻った。
・・・ああ、一人になりたい。