臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
大忙しです。
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何を子供みたいな事を抜かしてるんだ、と思った土曜日。

あの日は、家の電気が半分しか点っていないのを訝しく思った勝子さんがやって来て、二日酔い状態の社長に睨まれながら、いろいろと種明かしをしてくれた。

忙しかった家族を持っていた彼にとって、幼少期の暗闇は恐ろしいものだったらしい。

確かに夜中に起きて、静まり返った暗闇は大人でも怖いとは思う。

うん。それは私にもわかる。小さい子供ならなおさら怖いだろうって。

今では暗闇自体を怖がることはないそうだけど、それ以来、眠るときに暗いと気になって眠れないらしい。


恐るべし。トラウマ。


とりあえず、菩薩オーラを漂わせている勝子さんに後を任せて私は帰った訳だけど……。


そんなことを私が知ってしまったからか、月曜日の社長はなんだかぎこちない。

小杉さん運転の車が着く頃に、私が地下駐車場にお出迎えするのはいつものことなんだけど、あからさまにそっぽを向いている社長。

エレベーターでも無言で、今日の予定を伝える言葉に頷くだけ。

口論もなく通り過ぎる私たちに、秘書課のメンツは目を丸くする始末。

いや、それはそれで普通だと思うんだけど。

執務室に入るなり、何の音沙汰もなく一時間経過した。

……やっぱり子供みたいだ。
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