僕らの空は群青色
故郷の夏



間もなくお盆が来て僕は富山の実家に帰った。
上京して初の帰省だった。地方出身の大学一年生はゴールデンウィークにはこぞって実家に帰るものだけれど、僕は面倒で帰らなかった。夏の墓参りくらいは帰るべきだと思って帰省を決めたのだ。

本当はこの街に残って渡と遊んでいたかった。渡は帰る場所がない。

僕は帰省間際になって渡を富山の実家に誘うことを思いついた。
渡となら退屈な田舎も楽しそうだ。
星は本当にたくさん見えるから、子どもの頃の星座早見盤を引っ張り出して観察ができる。
国語教師である父の蔵書を貸してやれば、退屈はしないはず。

夏祭りに行ったり、僕の出身校を見せよう。何人かの幼馴染みに会わせてみよう。
僕は大学の友人を強いて渡と会わせようとはしなかった。
渡はきっと馴染まないだろうし、同じ街で暮らす分、普段に偶然会ったら不都合だろうと思ったからだ。

あとは、まあわずかに独占欲というものもあった。渡の親友は僕だけでいいという、子どもじみた考えだ。

でも旧友となったら、話は違う。
旧友たちは皆気の置けない友達だったし、自分の新しい都会の友を見せびらかしたい気持ちもあった。
何より彼らは渡を奪わない。渡にしても旅先の出会いとなればずっと気楽なはずだ。
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