孤独なシンデレラに永遠の愛を捧ぐ。
XV.無知


「ゆーあーちゃーん。遊ぼうよーう」


机に向かっている私に、何度も何度も話しかけているのは佳穂である。


「高校生活最後の夏休みだよ?楽しまなきゃ損だよ」

「高校生活最後の夏休みは絶好の受験勉強期間でしょ」


夏休みに入り、毎日のように特別補習を受ける私に毎回遊びの誘いをしてくる佳穂。

高校3年生の夏休みっていうのは、勉強しない人の方が少ないぐらいなのに。

佳穂は勉強しなくていいの?


「海でしょ?山でしょ?映画も見に行きたいし、心霊スポットも行きたいのに…」

「心霊スポットって…。そういうの駄目だったじゃない」

「だって夏っぽいことしたいんだもん」

「教室のクーラーが効いてるってとっても夏っぽいと思わない?」

「そういう夏っぽさは求めてないよっ!」



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