年下男子とリビドーと
学生バイト君と年上彼氏

カツンッ


カツン カン カンッ

わたしは青くなり、階段を跳ね落ちてゆくボールペンを追い掛ける。
そのまま手すりをすり抜け、下を歩く人の頭に刺さった。

やってしまった──

「ごめんなさいっ! 大丈夫ですか!?」

わたしは慌てて階段を駆け下りた。
振り返り見上げてきたのは、若い男の子。

「大丈夫ですけどー……そちらは?」
「えっ?」

「ストッキング」

ボールペンを受け取りつつ、指差された脚を確認して、ぎょっとした。
ボールペンが掠ったからか、更に走ったからか、豪快に伝線が入ってしまっている。

「……ご指摘ありがとう」

自分の顔が引き攣っているのがわかった。
即、踵を返してわたしはその場から逃げる。

よりによってあんな若い男の子に、なんて醜態を!
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