エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
魔の手





***





「しかしほんとに、こんな所でリイナと会うとはな。世間は案外せまいもんだ」


アラキさんはタバコに火をつけながら、しみじみとそう口にした。


「お前が『花の庭』を出てって以来ってことは、何年ぶりになるんだ?」




私たちがいるのは、公園の入り口近くのベンチだ。



「四年ぶりになりますね」と私が答えると、隣りに座る彼は「そんなにたつっけ」と目を丸くした。


「四年たつとあのガキンチョがこんなお嬢さんに成長するわけか。で、そのぶん俺はオッサンになったってわけ?」

「まだそんな歳じゃないでしょ?というか、誰かと思いましたよ、そんな派手な頭してるから。
怖い人に目を付けられちゃったかと思ったんだから」


むくれて見せてから、私は笑う。


こんな所でリイナと会うとは、とアラキさんは何度も言ったけど―――私だって、こんな所でアラキさんに会うとは思ってもみなかった。
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