できちゃった出産【ベリカフェ版】
 私は不安ばかりが先行してしまうテンションの低い妊婦でした(苦笑)だから、マタニティハイの妊婦さんを、なんだか不思議な気持ちで見ていたんですね。

 どうしてあんなに楽観的になれるのだろう? なぜ妊婦ライフを満喫することにあれほど没頭できるのだろう? その自信はどこからくるのだろう?(根拠が知りたい……)。 

 すみません、バカにしているつもりはないんです。むしろ、不安がってばかりの自分には、どこか羨ましくさえ思えたんです。もっと言ってしまうと、彼女たちのように変われないことに、コンプレックスを感じていたのかもしれません。

 ああでなければ、これからの出産や育児を乗り越えていけないのではないだろうか? そんな不安が頭をよぎり、ただでさえ自分に自信のない私はいっそう不安になったものでした。
 
 だからといって、「さあ、テンション上げていくぞぉ~」と何か努力(?)をしたのかというと……。

「変わるべきなのでは? ひょっとして、変わればラクになれるのでは?」という無茶な考えがぼんやりと浮かびつつも、「変わりたくない、変わりたくない、変わりたくない! 私は私なんだから!」と、もうひとりの自分が金切声をあげるわけです。ほんと、困った人ですね……(苦笑)

 マタニティハイって、妊娠・出産という期間を乗り切るために女性の身体に備わったある種のシステムなのかもしれません。実際、出産を含めて「子どもを守る」というのは、なりふりかまっていられないことが多いですから。

 “お花畑ホルモン”という言葉を聞いたことがありますが、妊産婦をハイテンションにするそれは、苦痛を和らげるモルヒネのような効果があるのかもしれません。或いは、こういう表現は不適切かもしれませんが、精神を高ぶらせる麻薬のようなものとでもいいましょうか……。

 ただ、少し話が戻りますが、妊婦本人にとってプラスに作用するものであっても、巻き込まれてしまう周囲の人はしんどいですよね。

 「早く子ども作りなよ~。妊娠菌あげるぅ~」と、マタニティハイの妊婦さんにボディタッチをされて不愉快だったというエピソードをネットで見たときは、思わず絶句してしまいました。「なんだそりゃっ、テロかよっっ」って話ですよ……(汗)

 夫婦のありかたも、家族のありかたも、人それぞれいろいろな考えがありますよね。その考えに、求められてもいないのによその人間が口をはさむべきではない。

 闇雲に他者を否定して、自身の考えが一番だと盲信して押し付けるのは、完全な迷惑行為かと思います。

 出産のしかたや育児の方法に関しても同じことが言えると思うのですが、この話はまたあとで――。
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