さて、帰宅してからさっそく検査薬を使おうと思ったわけですが……。そのときの気持ちは、今思い返してもどう表現したらいいかわからないです。難しい。

 当時、夫と私は結婚3年目の夫婦で、大人ふたりと猫一匹でのほほんと暮らしておりました。子どもについては、まだ彼氏彼女の頃に「一人は欲しいかな」と夫の口から聞いたことがあったような……。ところが、結婚当初は私が通院しながら療養をして服薬していたこともあり、自動的に先送りになっていたのです。

 ただ、彼はずっと欲しかったんでしょうね。それを黙っていてくれたのは、彼の分別ある優しさだったのだと思います。

 結婚もしているし、夫も子どもを望んでくれているらしい。妊娠することに何ら問題はありません。そのときにはもう通院も服薬もしていませんでしたし。ただ、足りないものがあるすれば、それは――「覚悟」あるいは「心づもり」だったのでしょう。
   
 お恥ずかしい話ですが、きちんとした考えがまるでなかったと思うのです。子どもを産む覚悟もないけれど、「子どもは絶対に作らない」と決意していたわけでもない。

 どこか成り行き任せの中途半端な状態というか。いやいや、成り行きにまかせよう!と決めていたわけでもないし……。要は問題を先送りにして逃げていたのでしょう。

 そういうヘタレな自分なもんで、いざ検査をするときは、それなりに緊張しました。でも、妊娠検査薬って本当にあっさり結果が出るもんなんですねぇ。私が買ったやつは丸窓ではなく四角い窓でしたが(どうでもいい情報?)、窓の真ん中に薄水色の縦線がはっきりと出ていました。陽性です。あ、妖精じゃないですよ?(すみません、こういうの要らないですね……)。

 夫にはメールで「帰ったら話がある」とだけ連絡しておきました。思わせぶりですねぇ、いやらしいですねぇ(苦笑) ただまあ、いきなりメールで「妊娠検査薬の判定が陽性の件(本文なし)」というのもどうかと思いまして。

 正直、気が動転すると言ったら大げさですが、かなり戸惑っていたんでしょうね。ちょっと具合も悪かったですし。だから、気の利いた演出など考える余裕はなかったのです。

 夫が帰宅するとすぐ「子どもができたかもしれない」と報告しました。この台詞、このまんまです(苦笑)。そして「これが動かぬ証拠じゃわい」とばかりに、四角い窓に陽性のラインが入った検査薬を見せました。これねぇ、見せるべきか迷ったんですよ。だって、検査の都合上やむを得ないとはいえ、“尿かけちゃってますから”。