Turquoise Blue 〜空色のベース〜

スポットライト


控室に戻った


入口の左側で
Cheaのメンバーが、全員揃って
座ってる

皆、手には楽器




−『彼』は私を見ない

もう自分の世界に入ってるんだ

…空気ちがう






− 1番奥のパイプ椅子
シノがスティックを持って
叩いてる



マキちゃんもギターを出して
チューニングを始めた



私も黙って奥に行く

ベースを出してチューニングだ


…他の事は後で考える


実際、色々ありすぎて
頭ほとんどまわってない


「あ」

これはキチンと言わなきゃ

後ろを向いて
Cheaの方を向く


「あの…!!
ベース貸して下さって
ありがとうございました!!
ホントにご迷惑おかけしました!」


青山さん、赤池さん
緑川さんが顔をあげた


「…それ 貸してみて」
青山さんが
煙草をくわえながら
長い腕を伸ばして来た


言われるまま、ベースを渡した



青山さんが、ネックの上の方を持って
真正面にベースを立てる

クルッと回した


次は、ネックの根元を持って
水平にして
片目をつぶって、剣みたいに前に突き出す


「OK はい」


暫くして、さっと下ろし
また私に返してくれた


「…あ? は はい
今のは一体、何…? 」



「それ
柔らかい木材使ってるから

電車の中に
長時間あったなら
誰か肘でもかけてたかって
気になった

学校で
立て掛けて置く時も
歪むから注意してね

楽器は生きてるから」


「…あ…ありがとう!!
気をつけます!!」







…そうかあ…

木だもんなあ これ…




楽器は生きてる… か




− ものすごく


いい言葉を、もらった








< 94 / 208 >

この作品をシェア

pagetop