眼鏡とハンバーグと指環と制服と
第二十四章もっと仲良くしたいな
結局、ひと月ほど入院した。

退院するといままでと違うマンションに連れて行かれた。
お引っ越しだそうで、今度のマンションの場所は限られた人しか知らないらし
い。

当然、おばあさまも伯母様も、晃匡さんだって知らない場所。

家具もなにもかも変わってて、変わってないのは相変わらず、ワンフロアが芝
浦のものだってことくらい。

よくこんなにお金があるな、ってちょっとびっくり。

前のマンションより本家からの距離が遠くなって、お稽古のためにもっと朝早
く起きなきゃいけないのかな、とか心配してたら杞憂に終わった。

「本家でのお稽古はしばらくお休みです」

「どうしてですか?」

首を傾げてみたら、柏木さんがちょっと怒ったみたいな顔になった。

「……短期間に二回も死にかけて、身に染みてないんですか?」

「……いえ」

確かに、本家に行くのは嫌だけど。
おばあさまが納得したとは思えない。

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