人事部の女神さまの憂いは続く

大輔はユリと大輔が似てるっていっているけど、こうやって甘えてくる大輔のお願いに弱い私の方が、結局は大輔の掌の上で転がされてるんじゃないかって思う時がある。

まぁそれも心地いいからいいかって思うけど、転がされっぱなしは性に合わない。

「ねぇ大輔。ハワイ、私たちにとってもハネムーンなんだよね。だったらさ、ハネムーンベイビー欲しいな」

耳元でささやくと、おもむろにくっつけていた身体を離してじっと顔を覗き込んでくる。

「香織!俺、がんばるよ」

そういってギューっと抱きしめてくる大輔が愛おしくて仕方がない。

もう出会って16年。

恋人同士になってからは12年。

結婚してからは、まだ半年。

人生の半分を大輔と一緒に過ごしていることになるけど飽きることなんてなくって、年々愛おしさは増すばかりだ。

こうやってお互いに転がしたり、転がされたりしながら、これからも過ごしていけるなら、そんな幸せなことはないだろう。

そんなことを思いながら、大輔の腕の中の心地よさに目を閉じた。


<その⑧香織の憂い FIN>
< 328 / 399 >

この作品をシェア

pagetop