「これで最後の返済だよ。お疲れさま。」
 
 借金の相談に行った、弁護士の助手の人からの電話。
 
 
 
 
 涙が溢れて来た。
 
 でもそれを拭いたくなかった。
 
 本当に目の前が明るくなった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 正直なところ、まだ父は無職のまま。
 
 借金がなくなっただけで現状はそのまま。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 これから何が起きるかもわからない。
 きっと何も変わらない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 でも生きていくしかない。
 
 アタシには死ぬ勇気がない。
 
 あの最悪だった日々、それも考えた。
 
 でも出来なかった。
 
 出来なくて良かった。
 
 子供は親を選べない。
 
 親だって子供を選べない。
 
 散々言ったが父と母はアタシが子供で良かったかな?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 少しだけ心に余裕が出来たアタシ。
 
 目を瞑って、思い出してみる・・・
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 「こっちおいで~」
 
 笑顔で手を広げアタシを抱き締める父。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「寝るならベッドいきなさいよ~」
 
 少し伸びたアタシの前髪を左右に掻き分け頭を撫でる母。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 アタシの心はアスファルト。
 
 どこをみても同じ色
 
 固くて冷たい
 
 雨が降ると色を変える・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 優しい色に。

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