みんなみたいに上手に生きられない君へ
「おはよう、早いね」 



一人でソワソワしていたら、後ろから声をかけられて、あせりながら振り向く。

この声は、と思ったら、案の定和也くん。

挙動不審だったこと、気づかれてないよね?



「......か、和也くんこそ」
 


今日も気持ちの良い笑顔を見せてくれた和也くんは、さわやかなブルーのシャツを着ていて、すごくよく似合ってる。

......そういえば、和也くんの私服って初めてだ。

制服はいつも見てるし、サッカーやってるときのユニフォーム姿も何回か見たけど、私服は初。



「なんだよ~。そんな見ないでよ、照れる」

「ご、ごめんっ!あの、和也くん! 
電話でも言ったけど、大会おつかれさま。
おしかったよね、あとひとつで全国行けたのに。
でも本当に、みんなすごくがんばってたよね、和也くんも圭佑くんもかっこよかった」



私服姿はすごく貴重だ、とまじまじと見ていたら、和也くんから笑われてしまって、あわてて話題を変える。

もう本当に、珠希ちゃんでも圭佑くんでもいいから、早くきてほしい。

緊張して何話したらいいのか分からない。

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