みんなみたいに上手に生きられない君へ
伝わらない。
気持ちが分からない。
......知りたい。

本当は、ずっと、知りたかった。



お父さんからの手紙、アルバムの写真。
辛い記憶と、幸せだった記憶。

初めて和也くんと話した日、手を繋いだ日。
それから、拒絶された日。



人と深く関わるのはこわいけど、直接話す勇気はまだないし、またいつものように逃げてしまうかもしれない。


それでも、気持ちを伝えたい。
何を考えてるか知りたい。
こわいけど知りたい。


何を考えてるかもっと知りたいです。

お父さんからの手紙の、たった一文が、私の最後の後押しをする。この一文がなければ、勇気を出すことはできなかったかもしれない。




それから、私は一晩かけて二通の手紙を書いた。


一通は、お父さんとお母さんへ。


もう一通は、......

みんなみたいに上手に生きられない彼へ。


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