みんなみたいに上手に生きられない君へ
私が前田くんの名前を出すと、その場にいた全員が、いいよねと同意する。



「前田カッコイイし、月子がいいと思う気持ちも分かるけどね。でもね~......、私的にはあんまりオススメできないかなぁ」



いったんみんながいいよねと同意した後に、そのうちの一人が気まずそうな顔でそう切り出した。



「あ、だよね。
前田くんモテそうだし、彼女くらいいるよね」



彼女がいなかったとしても、あの前田和也くんだもん。

当然モテるだろうし、そもそも同じクラスっていうことしか接点もないし、手の届かない存在。


好きとか付き合いたいよりも、私のは芸能人に対する憧れみたいなものだから、もし前田くんに彼女がいたとしてもそこまでショックじゃない。

いるんだろうなとは思ってたし。



「ううん、彼女はいないみたいなんだけどね。
うーん、なんていうか......」



やっぱり友達は言いにくそうに口ごもる。

彼女がいないなら、何だろう?

いなかったとしても、私じゃ無理だろうけど......。






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