みんなみたいに上手に生きられない君へ
「ねえ!つっきー!つっきーてば!
もう、和也にばかり見とれてないでよ」

「......ごめ珠希ちゃ......じゃなくて。見とれてたわけじゃないよっ。し試合に集中してたんだよ」



からかうような珠希ちゃんに、実際ちょっと図星だったこともあり、あわててごまかす。

いや、だって、ルールも分からないから、他にどこ見ればいいか分からないし......。

みんな誰を見てるんだろうとキョロキョロしてみるけど、学校である練習試合だからか、私と珠希ちゃん以外に応援にきてる人は、保護者らしき人ばっかり。

ルールも分からないのに来てるひとは、私と珠希ちゃんぐらいか。

 

「はいはい、まいいや。
それより、まだ和也と番号交換してないの?」

「......うん、機会もないし」

「え~機会なんていくらでもあるでしょ」



......返す言葉もなくて、思わず苦笑い。

珠希ちゃんに不満げな顔で見られても反論できないくらい、機会はあるんだ。機会は。

ただ私が聞けてないだけで。
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