黒猫の香音(前編)
_数ヶ月後 霜月。



「陽!何でそんな事するの!
謝りなさい。」

「…いやっ。」



最近反抗的になってきた陽は気に入らない事があればすぐに物を床に投げ付ける癖が付いていた。


今日もその事で怒られていた。


「お片付け出来ないなら捨てるからね。」

「いやっ。」

「じゃあ片付けして。」

「いやっ。」

「自分で散らかしたでしょ。」

「いやっ。」

「じゃあやっぱり捨てる。」

、と散乱しているおもちゃを捨てようとする動作を見せる。


「ぃいいぃいやあああぁぁ!!!!!!」


いやいやいやのオンパレードで全く理解しようとしない三歳児に対し、流石の馨も堪忍袋の緒が切れた。

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