素早い動きでヴァルはリュイの足元に跪き、必死の体で懇願した。

「何も聞かずに置いていただけませんか?僕、帰る所がないのです。拾ってもらわないと非常に困ります。」

「私も困ります。ここで一人暮らししているんだから。」

「でしたら尚の事、僕を居候させることは好都合ではないですか。僕、何でもします。変な気はおこしません。お願いします、ここに置いてください。僕の行く先が決まるまででいいのです。」

こんな素敵な魔法使いに、こんなに必死にお願いされては、断るのが心苦しくなってくる。しかも『帰る所がない』と、跪かれては許すしかないではないか。

物腰柔らかに見せかけて、実は自分に都合のいいように話を進めるヴァル。ついにリュイは押し切られてしまった。

「はぁ……分かったよ。その代わり、いろいろとお手伝いしてもらうからね。」

ため息交じりで答えたリュイに、ヴァルの顔にも笑顔が戻る。本心を言えば、リュイだって久々の同居人を嬉しく思うのだ。やはり一人で居るのは寂しい。

「はい、勿論です。リュイ……あ、失礼。あ・る・じ。ありがとうございます。」

「やだ、やめてよ、主だなんて!」

「いえ、拾っていただくからにはリュイは僕の主です。」

ヴァルはその端正に整った顔を、きりりとさせて断言した。