ある雪の降る日私は運命の恋をする

楓摩side

朱鳥が思っていた事を全部話してくれた。

まさか、あんなに抱え込んでいたとは思わなかった。

大人が嫌い

大人が怖い

朱鳥はそう言っていた。

正直、大人が怖いと言われた時はビックリした。

でも、俺だけは大丈夫。そう言ってくれた時、思わず涙が出てしまいそうになった。

きっと、明日の検査は泣いてしまうだろう。

俺は、なぜかそんな予感がした。

多分、痛さよりも恐怖の方で泣いてしまうのではないか……頑張ると本人は言ってたものの、きっと不安で恐怖で仕方がなかったんだと思う。

「よっ!楓摩!」

「おう、陽向。」

こいつは、いつも丁度いい時にやってくる。

「朱鳥ちゃん、目覚めたんだって?なのに、なんでお前はまたそんなに暗い顔してんだよ」

「うん。目は覚めたんだけど、明日の午前中に検査があってさ……それで、ちょっと」

「ふーん。俺、手伝ってやろうか?午前中なら、外来もないし。」

手伝ってくれるのは、正直とても助かる。だけど、朱鳥ちゃんの場合は……

「陽向、ちょっといいかな?」

「ん?お、おう。どうしたんだよ」

「いいから」

と言って、俺たちは医局を出た。
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