それはきっと、君に恋をする奇跡。

春の奇跡




今年も桜が満開になる季節がやってきた。


駅から学校への並木道もキレイに咲いているんだろうな。


明日は始業式。

あたしは2年生に進級する。


クリーニングを終えた制服に触れながら、去年の今ごろ、ハルくんに会えるとウキウキしていた自分を思い出して、また少し切なくなる。


……きっと春が来るたびに、あたしはこの感情を思い出すんだろう。



と、そのとき。


メールの着信音が鳴った。



スマホを手に取ると、そこには登録していないアドレスからのメールが送られていた。


メルマガかな……



何気なく送り主のアドレスに目をやれば。



h

a

r

u



並んだそのスペルに、ドクンッ、と胸が大きく鳴った。



h、a、r、u


───ハル……?



そのアドレスに引き寄せられるように、あたしはメールを開いた。




それは、


思いもかけない人からのメッセージだった。
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