甘々なボスに、とろけそうです。
09:恋するビル


恋するビル
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B.C.square TOKYOに足を踏み入れてからというものの、毎日があっという間にすぎた。

基本的にはウィルくんの助手だが、ウィルくんは何時間も1人の世界に入ることがあるので、そんな時はサナエさんに頼まれた雑務をして過ごすことも。

そうそう、ウィルくんの仕事部屋を少しずつディスプレイすることは私の密かな楽しみだった。

ひとまず整理整頓していただけの棚に、調達してきた仕切りや小さなボックスをはめ込んでみたり、透明ケースにフィギュアを並べてみたり。

「いつの間にこんなことになったの」とウィルくんが驚き、「お金かかったんじゃないの? これ、お礼にあげる」と〝ファビ通 夏の特別号〟をくれた。前に1度断ってはいたが、「もらってくれなきゃ捨てるよ」と軽く脅されたのでありがたく頂戴した。


里香子さんと休みがあえばショッピングに出向いたり、兄も加えて3人で食事をしたりした。

もちろん大学の課題やレポートも忘れてはいけない。ボスの家で、窓から都会の景色を一望しながら、それらを進める。

そんなこんなで2週間がたち、都心での生活にも少し慣れてきた頃、思わぬ人から食事に誘われた。

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