幾久しく、君を想って。
誰と誰が付き合う?
月曜日の朝、出勤すると厨房から高本さんが走ってきた。


「おはよう、宮野さん」


空気が冷たいせいなのか、頬が紅潮している。


「おはようございます。今朝も寒いですね」


霜が降っていました…と言えば、車のフロントガラスも凍っていたと話す。


「早朝勤務が辛くなるわねー」


そう零しながらも食材を取りに来たらしく、野菜の乗ったスチール棚の中を探っている。


「手伝いましょうか?」


今日はそんなに急ぐ仕事もないから尋ねた。


「ううん、いいよ。大丈夫。それよりもさ…」


白菜を丸ごと二つ手にして、ニヤニヤと笑いかける。


「何ですか?一体」


気色悪い笑顔だな…と思いつつ、手荷物を椅子の上に置いた。


「金曜日、まっちゃんが送ってくれたんでしょ?」


まっちゃんと呼ばれる人のことを思い出し、とくっ…と胸が鳴った。


「そうですよ。わざわざ遠回りして下さって申し訳なかったです」


あれから駅まで走って戻ったに違いない。

背中越しに見えていた白い息が、冬の寒さを物語っていた。


「どうだった?何か言われなかった?」


「言われる?何を?」


そう言えば、名前を確かめられましたね…と認めた。

ついでに拓海のことも、子供ではないかと言い当てられた…と告げると……


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