啓子と俊輔くんの関係をズルイと言った千奈美が、啓子に夏樹くんと再び話すきっかけをもらった。

 そのことについて、千奈美はなにを思ったんだろう。


「ごめん、待った?」


 私はファミリーレストランで待ち合わせをしていた。


「ちょっとねー」


 先に来ていた相手が振り返り、私に笑いかける。
 終業式で会ったきりだった啓子。
 千奈美との電話を切った後、私は啓子に会いたいとメールを送っていた。


「ごめんね、私が呼び出したのに遅くなっちゃって」

「ううんー、別にいいよぉ」


 私が席に着くと、ウエイトレスが注文を取りにやって来た。
 啓子はキャラメルマキアートとアイスパフェを食べている。


「えっーと……チャイティーラテ一つ」


 なにも頼まないのも居心地が悪いので、飲み物だけを頼む。
 ウエイトレスはかしこまりましたと去っていった。


「ねえ、啓子」

「なに~」


 アイスをスプーンですくって美味しそうに食べている啓子に、さっそく切り出す。


「夏樹くんに千奈美のこと話したのって……啓子?」


 それを確かめるために、私は啓子を呼び出していた。


「ああー、もうバレちゃったんだ~」


 啓子は否定する気はないみたいで、あっさりと頷く。


「うん、そうだよ~。だって、知らんぷりのままとかムカつくじゃん」


 昨日の電話が嘘みたいに、啓子は普段どおりのへにゃっとした笑顔で応じている。
 でも、私は啓子の目が赤いことに気がついていた。
 私に会うからって慌てて冷やしても、すぐには治らない。

 電話の後もずっと一人で泣いてたのかな?
 それとも、俊輔くんが側にいてくれたのかな?
 そうだといいのに。


「千奈美、勝手なことして怒ってるよねー」


 でも、千奈美の名前を口にしたときはちょっとアンニュイな表情。


「まさか! そんなことない、喜んでたよ。夏樹くんと、ちゃんと話し合えるみたいだし」

「そっかぁ、よかったね~」


 そう言う啓子は、本当に心からよかったと思ってるみたい。
 そう見えた。
 やっぱり啓子は啓子のまま、千奈美と私の親友の啓子のままだった。


「千奈美、夏樹くんとあんなことになっちゃったから、啓子と俊輔くんに嫉妬してたみたい。だから啓子にも酷いこと言って……」


 だったら、私は啓子と千奈美にちゃんと仲直りして欲しい。
 啓子も千奈美も、相手も思う気持ちに変わりはないんだから。


「でも、千奈美も啓子に酷いこと言ったって後悔してる。悪かったって、謝りたいって思ってる」


 そのきっかけになれたらいい。


「だから、さ」


 私が仲直りをうながしても、啓子はパフェを食べる手を止めて俯いてばかりいた。