小倉ひとつ。

12.お揃いとご挨拶

あの後、「こちらは無事に帰宅しました。今日はありがとうございました」と連絡をして、おやすみなさい、と締めた。


瀧川さんからは、「ご連絡ありがとうございます」という丁寧な始まりに、自分も帰宅したこと、私が無事に帰宅してよかった、夜分遅くまでお付き合いありがとうございますということを書いたお返事が来た。

「教えていただいたレシピでまた作ってみます。おやすみなさい」と締められたお返事は、相変わらず細やかだ。


もうお店が閉まってしまっていて、約束したお茶のお店をその日のうちに予約するのは難しかったので、翌日、休憩時間にお電話をした。


いつもの休憩時間にお電話したら全然繋がらなくて、慌てて切り上げる。多分年末だからだろう。


大変申し訳ないけれど簡単に事情をお話して、休憩時間をずらしていただいた。


……みんな手すきになるのはお昼だもんね。考えることは同じだよね。


いいよいいよって言ってくださった稲中さんは優しい。


でも、本当は瀧川さんにお会いしたかったのに、時間をずらしたにもかかわらず繋がらないお電話をじりじり待って、ようやく予約を取ったときには、ほとんど休憩時間が終わっていた。


行儀が悪いけれど、ときどきお昼をつまみながら待っておいてよかった。
< 236 / 420 >

この作品をシェア

pagetop