ｔｏｏ ｍｕｃｈ

「再出発」side美穂

「良いわね！絶対に地を出しちゃだめだからね！」

あゆが私の目を見て命令する。



「……わかってるってば。」

「あんたももうあんな辛い想いはしたくないでしょ！？」

「そのことはもう言わないでよ。」

「言う言う！何度でも言うわよ。
だって、そうじゃないと、あんた、また同じことを繰り返しそうだもの。」

あゆは意地悪だ…
私の傷がまだ治りきってないことを知っていながら、ぐいぐいとまたそこを責め立てる。



「あゆ…私、純也と何年付き合ってたって思うの？
七年だよ、七年！
もう絶対結婚するものだって思ってたし、それがいきなり別れを切り出されて、私がどんなにショックを受けたかはあんただって知ってるでしょう！？」

ちょっと感情的になってしまった。
だって、私の傷はまだ完全には治ってないんだもの。



「わかってるよ。
でもさ…きついかもしれないけど、その原因はあんたにあるんだよ？」

私は思わず唇を噛み締めた。
確かにその通り…
私は、気を許し過ぎていた。
付き合いが長いからってことだけで、純也は決して私を嫌いになんてならないって思って、好き放題にやっていた。
彼に甘えてばかりで、尽くすことなんて何もなくて、それでも私達はうまくいってると思い込んでいた。



「もう限界だ…別れよう…」



純也にそう言われた時、感じたのはただ驚きだけだった。
なぜ？私と純也はうまくいってたのに…どうして？
戸惑う事しか出来なかった私は何も言えなくて…
そんな私に純也は言った。



「君の世話をするのは、もうほとほと疲れたよ…」



言葉通りに、酷くうんざりしたような表情だった。
そして、純也は立ち去った。
その背中を見た時…私は、純也が気まぐれで言ったわけじゃないことを痛感した。
彼は、一度決めたことは絶対に覆さない。



私は、捨てられたんだ。
そう思ったら、心が真っ二つに割れたような気分を感じた。