強引部長の独占ジェラシー
3、部長と一晩過ごしまして


コトコトコト……。


昨晩、夜の9時頃に届いた野菜で作ったカレーはぼーっと部長のことを考えていたせいか、じゃがいもがとろとろに溶けてしまっていた。形がないどろどろに溶け込んだカレーを今朝食べたけれど、思ったより味は悪く無い。


大量に出来上がったカレーはタッパに入れて冷凍する。朝はそのまま、昼はカレーピラフと若干形を変えてお弁当に詰めることにした。それでもまだ残っているカレーを消費するには、もっとリメイクしないと飽きてしまうだろう。

毎回カレーを作ると大量に出来上がってしまい、もう食べたくないと思うのに、材料が揃えば食べたくなって作ってしまうから不思議なものだ。


そんなことを考えながらカレーピラフをお弁当に持って家を出ると、会社の最寄駅に着いた頃、ある人に話しかけられた。


「純夏ちゃん」


振り返るとそこには、ひらっと手を振る河原くんの姿があった。


「河原くん。おはよう」

「おはよう。純夏ちゃんと朝から被るなんてラッキーだな」

「また、すぐそういうこと言って」


だからそういう噂が絶えず広がるんだよ、という言葉は飲み込んで、不審な視線だけ向けると河原くんはきょとんとした顔をする。


「思ったこと言ってるだけだよ。あっ、純夏ちゃん、今日ご飯でもどう?突然のアポが入らなきゃ定時で上がれるんだけど」


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