「最悪!この世の終わりよ!」

「……本当に?」

私をじっと見つめる熱い瞳に息が止まる。
私は——。


 


遡ること二時間前。
久しぶりにお父様が帰ってきたと聞き、私は書斎へと急いでいた。

私のお父様は外食産業を主とするグループ会社の会長で、本宅に帰ってくることは滅多にない。

云っておくが帰ってこないのは忙しいためで、普段は若干辺鄙なところにある本宅ではなく、主に会社近くのマンションにお母様と住んでいる。

現在、本宅に住んでいるのは大学四年の私と、祖母、それに私たちの世話をするためのお手伝いさんがひとりと、……執事の高原(たかはら)。

私はその、高原のことで話があってお父様の帰りを待っていたのだ。

「おとう……」

『そうか。こりゃ、めでたい』