イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
俺の嫁になれば?


(このところ、私の心の同じくらいの土砂降り続きだったのに、今日はこんなに晴れるなんて……さすが高島さん、晴れ男……)


都内の豪奢な結婚式場で、澄み渡る六月の青い空を、久我山遠子(くがやまとおこ)は呆然と眺めていた。



ずっと引きこもりだったこの半年、ただでさえ白い肌は透けるように白くなり、激務のあまりほったらかしだった黒髪の長髪は、背中を通り越して腰に届きそうなくらい伸びていた。


だが今日はハレの日だ。
誰よりも敬愛する上司だった、高島の結婚式だ。

遠子が体を壊し職場を辞めたことを高島はひどく悲しんでくれて、辞める前も辞めた後も、なにかと気にかけてくれた。不義理をすることはできない。


なんとか部屋から出て、デザイナーである母に作ってもらったドレスを身にまとい、全国にヘアサロンを持つ久我山グループの社長で、元美容師の父に髪やメイクをしてもらった。


両親はとにかく引きこもりがちだった娘が部屋から出たことを喜びつつ、式場まで送ってくれ、さらにあれやこれやとーー遠子の今後のことを話したような気がするが、片思い相手の結婚式に向かう遠子の耳にはほとんど入っていかなかった。


(しかもブーケまで受け取ってしまった……)


遠子はハァ、とため息をつきながら手に持っているずっしりと重いブーケを目線の高さまで持ち上げた。
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