イジワルな副社長に恋してる!
昼になり、昼食会を兼ねた、演奏会は華やかだった。

演奏者が次々と曲を奏でる中、思い思いの料理を食べていた。

「絢ちゃん。」
湊が声をかけた。
「お疲れ様です。」
絢香も笑顔で答えた。
晃は、準備のため、行ってしまった。

「いろいろ、あったみたいだけど、晃を理解してくれてありがとう。」
湊にお礼を言われ、絢香は恐縮した。

「いえ、そんな…。」
「いや、最低だったでしょ。あいつ。」
そういうと、湊は苦笑した。
「そんなことはありません、とは言えないですが。」
絢香も苦笑した。

「だよね。でも、ほんと初めてのことだらけで、パニックになるアイツ、初めて見たから、俺はちょっとおもしろかったけどね。」

湊は続けた。
「中学のころから、あいつ、あの顔で女の子にはモテたんだ。でも、だんだんエスカレートして、ストーカーや、待ち伏せとか、隠し撮りとかひどくなって。一時期は外にも出るのが嫌な時期もあったんだ。その反動か、大人になるにつれ、誰にも本気にならず、適当な付き合いをするようになって。女の人を信用してなかったんだと思う。」

絢香は昔の晃を想像していた。
「そうだったんですか。」
「そんな時に、絢ちゃんに本気になって、どうしようもなくなって、どうしていいかわからなくて、その愛情はちょっとおかしな方向にいったんだろうな。」
と湊は笑った。

「お前、中学生でももう少しまともな恋愛してるぞって言いたかった。」
湊は、絢香を見ると、
「晃をよろしくね。」
といった。
「はい。」
絢香も静かに返事をした。



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