不知火の姫
03* 心の扉
◇◇◇




家族というものを知らない。



私の里親になってくれた二つの家庭は、最初こそ歓迎してくれたが、どちらも途中で放り投げた。

それは私が悪かったのか、相手が悪かったのか。

分からないけど。


私は『家族』という枠の中には入れなかったんだ。




他の子たちが家族旅行に行った思い出や、家族のお祝い事を楽しそうに話していたが、私にはそれがどんなものか想像も出来なかった。

誕生日すら祝ってもらった経験が無い。



家族の温かさとか、絆とか。

分からな過ぎて、辛いとか悲しいとかも思わなかった。





感じていたのは、どうしょうもない孤独感……





私は、独りなんだ。










それを埋める方法は、まだ知らない……















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