最後の恋

どれ位そうしていただろうか…


フッと彼の視線が柔らかなものに変わった、そして彼がこう言った。


「あれから10年も経ったんだし、いいよね…もうそろそろ時効にしても。」


彼が誰のことを指して言っているのか…すぐにわかった。


そして優しいその言葉の響きに、目の奥から熱いものがこみ上げてきた。


必死に押しとどめていた自分の気持ちが涙とともに溢れそうになる。


もう……限界だった。


そして、言葉にしようと口を開きかけたその時


「……俺は、あの頃好きだったんだよね。だから、松野さんもそうだったらいいなぁって思って聞いてみただけ。願望って言ったのはそういう意味だよ。」


彼の口から信じられないような言葉が聞こえてきた…。