嘘は取り消せない
雨が晴れるまでの間
桜side

塾へ通い始めてから3週間目
外は花の香りが漂ってくるほど
春に近づいていった

「お父さん、お母さん 行ってらっしゃい」
今日から5日間、お父さん達は仕事の都合で
出張ということだった
私が家にいた頃も両親の出張は多かった
だから私が、私たちが何不自由なく
暮らせているのだけど
お兄ちゃんも社会人になって



_______________私だけだなぁ


取り残されている
家族の時間に、世界の時間に、
自分自身の時間に、

でも焦ったらダメ
今までの分は取り返すことが出来るから

とりあえず今はお父さんたちが時間に
間に合うように促そう
玄関の前で何度も何度も後ろを振り返っては
心配そうな顔で見てくる



心配性だけどいい親持ったなぁ


「ほんとに三人だけで大丈夫なのか?」
「もう! 湊はともかく私はもう20歳だし
お兄ちゃんにいたっては
もうすぐで30だよ」
「なっ! 桜、俺はまだ24だ!」
「お兄ちゃん、二つ誤魔化したね」

玄関の前でいろんなことを繰り返して
かれこれ15分は過ぎたころやっと話が
収まった

「ま、何かあったらすぐ連絡しなさい」
「桜、体調に気を付けるのよ?」
「分かってる 何かあったらすぐ連絡する」
「じゃあね」
「気をつけろよ」
「お土産よろしく」

そんなこんなで両親がいない5日感が始まった
< 19 / 121 >

この作品をシェア

pagetop